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ニュースリリース

2020年01月17日

『エスネットワークス人事労務通信2020年1月号』を掲載致しました

企業と労働者の意識に大きなズレ~「同一労働同一賃金」アンケート結果

 

労働政策研究・研修機構が、「同一労働同一賃金ガイドライン」を含めた「パートタイム・有期雇用労働法」等の施行を控え、企業とそこで働くパートや有期雇用の労働者を対象としたアンケート調査の速報を公表しました。

◆企業調査では、職務が正社員と同じ労働者の賃金水準は「正社員の8割以上」とする企業が6割超

まず、企業を対象としたアンケートでは、「有期雇用でフルタイム」「有期雇用でパートタイム」「無期雇用でパートタイム」の労働者を雇用する企業それぞれに正社員との職務(業務の内容や責任の程度)の相違を尋ねると、「業務の内容も、責任の程度も同じ者がいる」企業の割合は、「有期雇用でフルタイム」の労働者がもっとも高い29.1%で、次いで「無期雇用でパートタイム」の労働者が12.8%、「有期雇用でパートタイム」の労働者が8.8%の順でした。

また、正社員と「業務の内容も、責任の程度も同じ者がいる」場合に、その基本的な賃金水準がどうなっているかという質問では、「正社員の8割以上」と回答した企業の割合が、「有期雇用でフルタイム」66.9%、「無期雇用でパートタイム」64.0%、「有期雇用でパートタイム」60.9%と、いずれも6割を超えていました。

◆労働者調査では、3人に1人が「正社員より賃金水準が低く、納得していない」と回答

一方、「業務の内容も責任の程度も同じ正社員がいる」と回答した労働者を対象に、正社員と比べた自身の賃金水準をどう思うかという質問では、「同等もしくはそれ以上の賃金水準である」割合が10.8%、「正社員より賃金水準は低いが、納得している」が21.6%で、「正社員より賃金水準が低く、納得していない」が33.5%、「何とも言えない・分からない」が32.8%という結果でした。

また、「業務の内容が同じ正社員がいる」と回答した労働者を対象に、そうした正社員と比較して納得できない制度や待遇があるかという質問では(複数回答)、「賞与」を挙げた割合がもっとも高い37.0%で、これに、「定期的な昇給」が26.6%、「退職金」が23.3%と続きました。

さらに、全有効回答労働者を対象に、現在の勤務先に限らずこれまで働いてきた中で、正社員と「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の間で、業務の内容および責任の程度、人材活用の仕組み、その他の事情に照らしても、不合理な待遇差を感じたことがあるか尋ねると、「ある」とする割合が21.3%で「ない」は35.2%、「分からない・考えたことが無い」が39.4%となりました。また、不合理な待遇差を感じたことが「ある」場合に、企業に対して待遇差の理由等の説明を求めたいと思うか尋ねると、「説明を求めたい」割合は37.2%で、「必要ない」が25.2%、「分からない・考えたことが無い」が36.7%でした。

調査結果をみるかぎり、企業側の意識と労働者側の意識には大きな差があり、企業としては、不合理な格差をなくすのはもちろんですが、「合理的な理由がある」場合でも、労働者に対して一層の説明の努力が求められそうです。

【労働政策研究・研修機構「『パートタイム』や『有期雇用』の労働者の活用状況等に関する調査」(企業調査)及び 「働き方等に関する調査」(労働者調査)結果】

https://www.jil.go.jp/press/documents/20191218.pdf?mm=1554

 

2020年は「未払い残業代対策」が課題の年?

 

◆セブン‐イレブン・ジャパンで未払い残業代問題

昨年12月、セブン‐イレブン・ジャパンは、パート・アルバイトの残業代が一部未払いとなっていた件で、永松社長が記者会見で謝罪しました。同社の支払不足額は2012年3月以降分だけで4.9億円(遅延損害金1.1億円含む)に上り、1人当たり最大280万円となっていました。

原因は精勤手当や職責手当等、残業代の対象となる手当を含めずに計算していたことにあり、12月15日掲載の東洋経済ONLINEの記事によれば、「2001年に計算式を変えた際、式に基づいて計算が正しく行われるかという確認はしていた。しかし、人事や労務管理のプロである社会保険労務士によって計算式そのものが正しいか確認された記録はなく、今までミスが放置されていた」ということです。

 

◆未払い残業代放置は経営を直撃するダメージになり得ます

この問題により、同社は厳しい批判を浴びせられました。批判は、未払いの発生のみならず、労働基準監督署の是正勧告等を受けていたにもかかわらず長年放置していた姿勢にも向けられました。こうした批判は、今後の人材募集にも深刻な影響を与えかねません。

 

◆今年4月以降、未払い残業代リスクはさらなる脅威に

昨年12月27日、厚生労働省は、賃金等支払いを請求する権利の時効を現行の2年から原則5年へと延長する方針を固め、4月1日以降、労働基準法が改正される見通しとなりました。

改正法施行後も、当面の間は3年とされる見通しですが、5年経過後に見直し、以降は原則どおり5年とすべきという意見も出されています。

つまり、未払い残業代が発覚した場合でも、これまでは2年分の不足分を支払えばよかったのですが、2倍以上の金額を支払わなければならないこととなります。

 

◆残業代が適正に支払われているかチェックを受けましょう

4月1日以降は、時間外労働時間の上限規制も全面施行となるため、残業時間のカウントと残業代の支払いに注意を払う必要があります。

ソフトやクラウドサービスを利用しているから大丈夫と思っても、セブン‐イレブン・ジャパンのように計算方式が誤っていて、未払い残業代が発生し続けるといったこともあり得ます。二の舞を踏んで危機に陥らないためにも、一度チェックを受けてみてはいかがでしょうか?

 

 

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